明日へ 戦争は罪悪である
2015年の秋、安保法案に反対する国会前のデモのニュースが、テレビからながれる。老人ホームで余生を過ごす98歳の元落語家、金山亭我楽こと藤尾純次の胸に、故郷瀬戸内の島の一人の僧侶・杉原良善の姿がよみがえる。
1932年、日中戦争から太平洋戦争に向かう戦争の時代。噺家になりたい13歳の純次の背中を押したのが良善和尚だった。東京へ弟子入りし落語家となった純次は、出征のため6年振りに里帰りし和尚と再会するが、境内での出陣式で、良善は突如「戦争は罪悪で人類に対する敵、すぐにでも止めたほうがええ」「逃げて帰って来い。人殺しはするな」と説教を始める。
それまで戦争に協力する説教を語っていた良善のこの変化には何があったのか……。